指導方針について

技術の上達とは何か

卓球の攻撃系技術の上達には次の4段階があります。

POINT

1、正しい足の動かし方を覚える

2、速く動けるようになる

3、速くスイングできるようになる

4、当てる厚さ(薄さ)を選択できる

 

この4つを軸に、様々な枝葉が存在し技術が成り立っています。

「速く動きながら速く振れて、尚且つ当てる厚さを選択できる」ことが攻撃系技術の基本だと考えます。

正しい厚さはラケットの角度とスイングの方向で決まります。

 

●速く振れるようになれば自然と良いフォームになる

スイングに先立って、まず初心者であれば正しい動き方を覚えることが最重要課題となります。

正しい動きで動ける上で、速く振れるようになることを目指しましょう。

スイング方法については「基本打法」のページでも解説していますが、基本的には速く振ればスイングは直線的になり安定します。

「大は小を兼ねる」という考え方の元、速く振って薄く当て強いドライブが打てるようになれば

練習せずとも弱く打つフォア打ちなどは自然と打てるようになります。

正しい動き方を覚え、速く動きながら速く振る訓練をすれば、最短で正しい技術が身につくと考えます。

「フォア打ちも満足に出来ていないのにドライブなんか出来る訳がない」という考え方は良くなく、最初からドライブをどんどん練習していくべきだと思います。

 

「感覚的」なのか、「物理的」なのかを切り分ける

技術を考える時に、「感覚的」な事柄と「物理的」な事柄を混同しないことを大切にしましょう。

例えば、スイングを大きく3つにわけると、スイングの始点・ボールを打つ打点・スイングの終点があります。

よく、「インパクト瞬間だけ力を入れ、それ以外はリラックスする」という指導がありますが、当たる瞬間だけ力を入れることなどできません。

力を入れなければスイングが始まらないからです。

「インパクトの瞬間だけ力を入れる」というのは感覚的には正解だと思いますが、物理的には間違っています。

そのように、物理的なことと感覚的なことを混同せずに指導を受けると良いでしょう。

 

ご自身の卓球論1つ1つを見直し、物理的であるか、感覚的であるかを今一度お考え下さい。

 

多球練習で覚えてから一球練習へ

初期段階の練習は多球練習が中心になります。

一定で安定したボールへの強打を反復することにより、技術の上達の効率が大きく上がります。

培った技術を試合で発揮するためには、持っている技術をいかに試合の中で平静に使えるかという「慣れ」の点と、いかに全面形式の中に技術を組み込んでいけるかという「戦術」面を埋めなければなりません。

しかし、そのプロセスは全てが多球練習が基になります。

 

POINT

1、多球練習で出来たことを一球練習(ラリー練習)で出来るようになる。

2、1球練習で出来たことを全面練習(サーブレシーブからオール)の中で出来るようになる。

3、全面練習で出来たことを、ゲーム練習の中で出来るようになる。

4、ゲーム練習で出来たことを、大会の中で出来るようになる。

 

●多球練習で出来ることは「技術の貯金」

このような経緯を辿って再現性の高い「使える技術」へレベルアップします。

逆に言えば、一定のボールを打つ多球練習で出来ないことが全面練習で出来るわけもありません。

ですので、初期段階では“多球練習で出来ることをいかに増やすか”ということが後の成長率を大きく左右します。

「多球ではしっかり問題なく出来るけど、全面になると出来ない」という状況を悲観する必要はありません。

多球の内容を一球にアップデートし、一球の内容を全面にアップデートする作業を綿密に行えば、必ず出来るようになります。

いかに多球練習での「貯金」を貯めるかが、長く成長を続けるコツです。

 

●一球練習は「選択」する練習

多球練習は「技術」そのものを上達させる練習で、一球練習はどれくらいの強さでどのコースに打つのかという、正しい「選択」をする練習と考えましょう。

ですから多球練習はミスしてもいいので思い切り振り、スイングスピードの最大値を上げていくことを目的としましょう。

そして、それをどれくらいの強さまで落とせば確実に入るのかを一球練習で確認しましょう。

全面練習はサービスからの「パターン」を増やす練習で、ゲーム練習はそのパターンを正しく組み合わせて「戦術」を作る、または実行する訓練をする練習と考えましょう。

 

ミスの原因は「技術?」「選択?」

1つのミスに対して、「技術」的な問題が原因だったのか、はたまたどのようなボールを打たなければならなかったのかという「選択」が間違っていたのか。ここをきちんと見極めることが速い上達の鍵となります。

下回転をドライブしたらネットにかかってしまった時に、角度やスイング方向が間違っているのであれば「選択」の問題だと言えますが、振りが遅くてそもそも回転量が少ないためネットを越えなかったのであればそれは「技術」の問題です。

どんなボールを打たなければならなかったのか…どれくらいの強さ、厚さで打たなければならなかったのかという「選択」が間違っているのに、多球練習でいくらパワードライブの練習をしても試合では入りません。

ただし、「選択」の幅は「技術」が高ければ広がります。だからこそ「技術」と「選択」をきちんと分けて考えて反省しましょう。

その上でサービスやレシーブからの「パターン」を数多く作り、そのパターンを組み合わせた「戦術」を考えましょう。

 

まとめ

・ドライブやスマッシュなどの前に、まず足の動かし方が間違っていないかを確かめる。

・攻撃系の技術とは、速くスイングできることと、速く振っても当てる厚さを選択できるということである。

・多球練習は「技術」を覚える練習で、一球練習は正しい「選択」を覚える練習である。