バックハンドドライブ

シェークハンドのバックハンドドライブの考え方を紹介します。

フォアハンドドライブと同様「手首」「肘」「肩」腕の3つの関節を用途別に説明します。

フォアドライブでは関節の組み合わせについては初級者にとって複雑になるため触れませんが

バックドライブに関しては関節を組み合わせた打ち方とその考え方を紹介します。

 

まずバックドライブはフォアドライブよりも使う関節が少ないため、シンプルで覚えやすい技術です。

フォアドライブのように体を捻ったり大きな体重移動をする必要がありません。

体の正面に来たボールに対しては、手(手首)だけで打つ事ができるとひとまず解釈してください。

ただ、フォアドライブは体を捻るなどすることで、体の右横側全てをストライクゾーンに出来ることに対し

バックドライブは、基本的には体の正面でしか打てない等ストライクゾーンが非常に狭く、シンプルですがピーキーな技術です。
(ピーキーとは自動車の性能を表す用語で「限定的な範囲でのみ高性能を発揮する」という意味です。)

そのため、バックドライブ自体はさほど難しくはありませんが、試合で使うとなるとフットワークにおける高い技術が必要となります。

フットワークについては別の項で説明しますので、まずは単純なバックドライブを紹介します。

 

 

1、手首を使ったバックハンドドライブ

バックハンドドライブにおいて主要関節となるのが手首です。

超上級者でもない限り、8割方、手首を使ったドライブで事が足りるでしょう。

関節には「回る関節」と「曲がる関節」があると先述しましたが、回転を加増するには「回る関節」が適しています。

手首を使ったバックドライブの流れは以下の通りです。

 

1、ラケットの高さはなるべく高く、みぞおちよりも上に構える。

2、肘を出来るだけ伸ばして面を出来るだけ真下に向ける。

3、ラケットが真横になるように手首を尺屈する。

4、面の角度が変わらないように手首を返して(撓屈)、手首が真っすぐになるまで振り切る。

小指側に曲げることを尺屈、親指側に曲げることを撓屈と言います。

この際に注意することは以下の通りです。

1、肘の曲げ伸ばしを出来る限りおさえ、手首だけが独立して動くよう訓練する。
(手首と肘が連動してしまうと、筋肉量が多く大きい関節、即ち肘関節が優位になり手首を回したドライブにならない。)

2、面の角度を変えないように、斜面があると思ってそれをなぞるようにスイングする。

3、体は打球方向に正対し、体の正面で打つ。

4、プッシュのように体が開かないようフリーハンドはラケットの横に常に置く。

5、ステップはするが体重移動は基本的にしない。

5についてはフットワークの項で説明をするステップが必要となりますが、体重移動は必要ありません。
バックハンドは体の正面で打つため、右にも左にも基本的には体重が移動しません。フォアは体の横で打つため体重移動が必要となります。
右に来たら右にステップをし、左に来たら左にステップをして打ちます。

6、以下のグリップに気を付ける。
・第三関節にグリップのエラを当てる。
・人差し指から小指の第三関節上にグリップを乗せ、握る。
・親指の爪は相手側に向け、上向きにしない。親指の第二関節を曲げ、第一関節は反るようにし爪の横をラバーに押し付ける。
・真上から持ち腕とラケットがL字になるように持つ。
・人差し指の第二関節と親指の爪を合わせるように持ち、人差し指と親指の間に隙間を作って持つ。

文字だけではわかりにくいと思いますが、グリップに関してはグリップの項でも説明がありますのでそちらも併せてご覧ください。

 

以上、注意点が多いですが要約すると“肘を伸ばしたまま、面が変わらないように手首を返す”という考え方です。

また、バックハンドが苦手な方の大半は、経験上グリップに問題があることが多いです。

グリップの項も併せて良く読み、バックハンドが打ちやすいグリップを習得してください。

 

2、肘を使ったバックハンドドライブ

肘を使ったバックドライブは、基本的に相手の強打に対して伸ばすように打つ事に使うよう指導します。

相手の強打に対する技術はブロックとカウンターに大きく分かれます。

具体的にはチキータやループドライブなどに対して肘を使ったドライブを使いますが

“ブロックしていたら攻め込まれてしまうけれどカウンターが出来る程の余裕もない”時に

「伸ばすブロック」または「弱めのカウンター」として肘を使ったバックドライブを使用します。

また打点が遅れて詰まってしまい肘が曲がってしまう状況では、手首を返すバックドライブは打てないので

回避策としての肘を使ったバックドライブを打つ場合もあります。

 

先述しましたが、肘は「曲がる関節」ですので、「回る関節」のように強い回転を加えることが難しい関節になります。

肘の曲げ伸ばしは、“押す”動きですのでプッシュ系の技術に多用しますが

バックドライブに関してはラケットを下向きにしプッシュすることで、俗に言う“押しごする”という動きになります。

真正面に押してしまうとボールが滑って落ちてしまうので、顔の高さくらいまで押し上げるような動きで押しごすると

チキータやループドライブに対する「攻めのブロック」や「確実性の高い安定したカウンター」として重宝するでしょう。

 

3、肩を使ったバックハンドドライブ

肩を使ったバックドライブは、主に中~後陣からフルスイングするようなドライブを打ちたい時に使います。

「居合い抜き」と表現されることも多く、日本では松平健太選手、ヨーロッパではクレアンガ選手などのバックハンドがイメージしやすいかと思います。

肩関節の“開閉”を使ったドライブとなります。

肩を使ったバックドライブは、腕全体を体に密着させるようにバックスイングをとることからラケットは体の左側からスイングするため

腰や膝も含め、全身の回転運動で打球するという非常にダイナミックな技術になります。

近年では中後陣でのプレーが減ったことと、用具の進化により手首だけでも相当強いボールが出せるようになったため

「居合い抜き」系のバックドライブを見かけることは少なくなりました。

 

また、肩を使ったドライブで現代でも多様される重要なバックドライブは

肩関節の“捻転”を使ったバックストレートへのドライブです。

このドライブを使う場面は、相手のドライブに対してストレートにいなすようにし肩を捻って打つ場合と

ボールが浅く、前にやや倒れこみながらストレートに押し込む時などに使う場合があります。

(また、応用的な技術として相手のドライブがミドルに来た時に肩を捻ってカット性のブロックを行う選手もいます。

松平健太選手や丹羽孝希選手などが多用しカットブロックは有名になりました。これはドライブ技術ではないのでこの項には適しませんが肩の使い方の余談として。)

 

 

4、関節を組み合わせた打法の見解①

以上が「手首」「肘」「肩」腕の3つの関節の用途別説明となります。

次にこの3つの関節の組み合わせで打球する場合の考え方を紹介します。

基本打法」の項で先述した通り、関節は1つしか意識的に使えないという前提を基に3つの関節の使う順番を考える時

1、肘
2、手首
3、肩

の順番でスイングします。

バックスイングで十分に曲げた肘を伸展させることでスイングを加速し、肘が伸びきる直前で手首の旋回を行います。

手首を旋回することでボールに回転を与え、手首の旋回が終わる頃から肩を開閉することでクロスを狙うか、肩を捻転することでストレートを突きます。

要するに、①肘で加速し②手首で回転をかけ③肩でボールの方向を決めます。

これをひと繋ぎに行うので一見腕全体でスイングしているように見えますが、このような順番で関節が駆動していると考えます。

 

前陣で行うバックハンドは基本的に加速の必要がありませんので①の肘は使わなくて良いと指導します。

ですから①~③までありますが、初中級は基本的に②の手首だけで良いと考えます。

 

5、関節を組み合わせた打法の見解②
~下回転に対するバックドライブorチキータ~

下回転に対するバックドライブは、手首だけでなく肩も一緒に旋回することでループドライブ等回転を重視したドライブが打てます。

上回転に対しては手首だけで事足りますが、下回転は手首だけでは上がらない場合も多くあり、その場合にこの項のドライブを使用してください。

1、肘を伸ばし、肩と手首を同時に内旋しラケットの先端を真下(6時方向)へ向ける。

2、肩と手首を大きく外旋しラケットの先端を2時まで移動する。

3、ラケット面は終始打球方向を向けて手首が背屈しないように気を付ける。

手首を大きく旋回することがコツですが、手首は最大で90度程度しか旋回しません。掌屈も背屈も90度程度です。尺屈と撓屈については45度程度です。

従って、90度以上旋回する場合は肩の旋回と混在させる必要があります。

ただ、ここで注意して欲しいのは、肘を伸ばした状態で旋回することです。肘を90度に曲げた状態での旋回では、手首の旋回方向と異なるため、手首が使えなくなります。

また、肘を曲げた状態では方は90度までしか旋回しませんが、肘を伸ばすと肩は270度旋回します。

肘を曲げると手首の旋回を使えない上に、旋回する範囲が3分の1にまで減少します。

図のように、9時から12時間は手首の旋回のみでラケットを移動することができますが、6時までラケットの先端を向けようと思えば肩の旋回が不可欠です。同様に12時以降、1時や2時方向にラケットの先端を向けようとしても肩の旋回が不可欠です。

(補足:この項ではじめに説明した「1、手首を使ったバックハンドドライブ」は、9時から12時のように手首の最大旋回角度である90度の範囲で打球します。)

 

チキータレシーブも、この項で説明した肩と手首の旋回を使用したドライブで打つ事が出来ます。下回転に対するバックドライブはラケット面を真正面に向けて打ちますが、チキータレシーブの場合は手首を最大まで掌屈することでラケット面を下方向に向けて打球します。